しろくまさんの日常

フラメンコギタリスト 北村海人のブログ

弦月庵 ギター工房見学体験記

 

 

 

kaitoflamenco.hatenablog.com

前回弦奏JAPANさんにお邪魔した際に、弦奏と同じくらい気になってしまったギターがあった。

 

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何か、こう、普通のギターとは似て非なるデザインなのである。

デザインもそうだが、何か、根本的に作りが全く違う。

 

僕は心を奪われて、ちょこっと拝借したのであった。

 

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フラメンコギターではないんだけど、なんかこう、

 

音が1つ1つすごい。

今までに感じたことのない

いい響き。

 

 

しばらく弾いた後、このギターについてお話を伺ったところ、なんと弦奏製作者である代表取締役の小林さんの弟さまが作ったものだとか。

 

全く作りも何もかも違うこのギターにすっかり心を奪われてしまい、このギターを作った製作者にお話をお伺いしたい!!と申し出たところ、

 

後日お話を伺えるチャンスが訪れ、11月初旬、弦奏JAPANの取締役である香川 竜太さんと一緒に立川駅で待ち合わせ、ワクワクを胸に上北台駅のさらに北の多摩湖の近くにある、「弦月庵」ギター工房へ、そしてこの魅惑のギターを製作した製作者の小林 正児さんに話をお伺いしに行った。

 

 

 

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製作者の小林 正児さん

 

 

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ギターについて色々お話を聞かせてくれて関心MAXな私の顔。

 

 

 

本当にいろんな話をお伺いすることができた。他のギターとの構造の違い、工夫、技術・・・・・。

 

 

その中でも特に、

製作者側の視点におけるギターへの想い

 

を聞くことができたのは、僕にとって衝撃的であった。

当たり前のことであるが、大量生産されてるギター以外は

みんな細部まできちんと職人が作っているのである。

 

 

ギターを作るって、とてつもない労力と

時間と莫大な知識と愛がないとできない。

 

ほんと、付喪神が憑くんじゃないかってくらいに1本と向き合わなきゃならない。

湿度や木の管理、木の知識、ギターの構造、塗装の知識や木の加工など多々ある技術や知識があって初めて1本ができる。

そうしてできた作品に、名前や価値、付加価値がついたものが私たち奏者に渡り、その奏者が弾く作品の音を、聞き手が聞くのである。

 

 

僕は奏者としてギターに関して全く無知に等しかったのをすごく恥ずべきだなと改めて思った。

 

ちょっと考えればわかることだけど、木目がその木材の年輪を表すことや、良質な素材の木が激減してること、使うことが許されてない木のこととか知らなかった。

 

 

 

ギターに使われてる板に存在する木目は換算するに何十年とか、下手したら100年以上の物とかが使われている。

そういった木は、もしかしたら奏者である僕たちが生まれる遥か前、もしかしたら百年くらい前に日本から離れた異国の地で頑張って地表から芽を出して、雨の日も風の日も晴れの日も、霧が濃い日もどんな日が来てもすくすくと逞しく育っていった歴史があるのだ。

 

そして長い月日をかけて成長した木を有り難く使って出来た作品が僕たち弾き手に渡り、その音が聞き手に届く。

 

 

とっても素敵なことだけど、その裏には作品を作れば作るほど年代物の貴重な木の素材がどんどん無くなっていき、次の年代物の素材が出来るまで、成長や乾きをじっと待たなければならない、というジレンマを内在しているのだ。。。

 

売る人も買う人も聞く人も、持ってるギターの『さらに向こう側』を感じる事で、今日自分の手に来てくれた作品をより一層感謝をしなくてはならんなぁと思うわけである。

 

 

こんな大切なことを知らないのはギターにとって、その作者にとって失礼である。

 

 

そして世界のいろんな製作者が日々考え涙ぐましい努力を惜しまず、思考を凝らして、その工程や技術を後世に伝えてきたものが今日に到るまでに楽器として存在し、

 

それは少しずつであるが日進月歩、進化して行き、今も続いてるんだなーと思うとなんとも言えない果てしない気持ちになった。

 

僕はギターを弾く側の人間であるが、ギターと向き合うときにそういう作者側の熱い想いを組める人間になりたいなと思った。今弾いてるギターも、きっとそう作られたのかなーなんて思うとさらに愛着が湧いてくる。

 

 

 

楽器屋さんに足を運び、無知なのに人から言われた情報を鵜呑みにして「このメーカーはこうだ」「これがあーでこーで」「音がどーであーで」と、内容の薄い上部だけの考えを持ちながらギターと接するのは改めるべきだなと思った。実際、木材についてやメーカーについてや作りについて熟知してるわけじゃないけど、『作品』としてギターを認知し、向き合う際は作り手の心も考えれる姿勢を持つのは大切だよねってこと。

 

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工房内

 

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木材に弦奏を当てて木の響き方を聞いてみた。

同じ種類の木でも個性があった。

 

 

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構造の違う響くギターと自分のギターとで、聞こえてくる音の違いを感じてみた。

 

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実際に聞いてみた。

 

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ギター製作者 小林 正児さん(右)

ぼく (真ん中)

弦奏JAPAN 取締役 香川 竜太さん(左)

 

 

今回工房見学をしたことで、ギターについての価値観や考えが改まったり、もっと大切にしていこうと思えたり、とてもいいきっかけになってよかった。

 

 

工房見学、オススメです。

 

 

小林さん、貴重なお時間ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2つ・・・・・・?