しろくまさんの日常

フラメンコギタリスト 北村海人のブログ

2024/03/08 ヘレス渡航手記 【格言を貰った話】

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めちゃうまの魚のやつ

 

 

 

 

 

 

 

 


格言を貰った話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


すごく悩んでることがある。

 

 

 

 


フラメンコをどう説明すればいいか。

 

 

 

レマーテをどう説明すればいいか。

 

 

 

フラメンコの中で大切なことはとても多く存在してるが、大きな部分に、ぼくはレマーテがあると信じている。

 

 

 

 


レマーテが分かるようになったのは、2回目の留学の時の、ルイスペーニャのクルシージョをうけた後の事だった。

 


それまで分からなかった事であるが、彼のクルソにを受けて何かがわかるきっかけを手に入れた。

 

 

 

 

 

 

数年後、僕がフラメンコギター講師になって、踊り伴奏のセミナーやレッスンなどを日々こなしている時に、レマーテについて上手く言語化できない日々が続いていた。

 

 

 

 


どうやったら伝わるんだろうか。

 

 

 

たとえばこの感覚は、幽霊が見える人と見えない人みたいな、色が識別できる人と出来ない人みたいな、聞こえるヘルツと聞こえないヘルツがあるみたいな、なんかそんな感覚なんだけど、でも絶対訓練次第でみんな分かる事なんだと思うんだけど、それを言語化するのにとても苦労していた。

 

 

 

 


どうやったら伝わるのか、友人と相談して頭を並べて考えたこともあったが答えは見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


サン・ミゲル教会の近くにピソを借りている私であるが、レッスンは専らサンティアゴ地区。

ピソ歩いて30分の所にアネのスタジオ、40分のところにへススの家がある。

 

 

 

 


ある日へススのギターのレッスンが終わってから、コンパスパルマのレッスンをアネに教わる時があり、思い切って拙いスペイン語で聞いてみた。

 

 

 

 


「フラメンコには色んな大切なことが沢山あると思う。けどその中でぼくはとても大切なのはレマーテだと思ってる。

 

 

 

 

 

 

どうやって知らない人にレマーテを説明したらいいかな。そしていつそのレマーテに気がついたか聞きたいです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとなく、フラメンコの土着した土地に住んでる彼らなら、その簡略化されたわかりやすい言語化ができてると思っていた。だから、日本人の僕が考えることよりも遥かに分かりやすい答えを持ってるんだろうなという、淡い期待を持っていた自分がいた。

 

 

 

アネは一言だけ答えた。

 

 

 

 

 

 

 


「めっちゃ聞くしかない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続けて、いつレマーテを理解したかも話してくれた。

 

 

 

 

 

 

 


「この土地に生まれて、色んなアルティスタに恵まれた。周りにたくさんのアルティスタがいて、近くにルイスデラピカ(ペーニャをやるバルみたいなところ)もあってとても身近にあった。子供の頃からやってたから子供の頃からそれを見てて、子供の頃からそれがわかった。でもそれは沢山聞いて、沢山経験したから。だから分かるようになった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


僕が考えてる事を「そんなの簡単だよ」っていとも簡単に施錠を解除できる答えを期待していたけど、多分心のどこかで、「もしかしたら沢山聞くしか方法が無いのかもしれない」

 

 

 

というのはなんとなく想像していたけど、彼の言うことを聞いてやっと腑に落ちた。

 

 

 

 


聞かなきゃ分からないし、言語化出来たらとうの昔にみんな出来てるし、だからずっと勉強しないといけないし、経験しないといけないんだっておもった。

 

 

 

 

 

 

わかっていたことなのかもしれないけど、改めて答え合わせをできた瞬間だった。

 

 

 

 


並びに、「沢山聞いていくしかない」ことが唯一の近道であり、唯一の正解なんだ、彼らもそうやって育ってきたんだということを理解できた瞬間でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、沢山聞く。今日も明日も、これからも。

 

 

 

 

 

 

という、格言を貰った話でした、